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そこでは同社の株式の売却希望者が電子掲示板に価格を提示し、それを見た購買希望者がその価格に対してビッドできるようなシステムが作られました。

しかしこのシステムがスタートしてすぐ、証券取引を監視する公的な機関である米国証券取引委員会/SECからの諮問を受け、証券取引法に抵触する可能性を指摘されたために、このシステムは自主的に中止されることになってしまいました。 ところが、インターネットを使った株式公開という画期的なアイデアを実現した同社は、多くのマスメディアに取り上げられ、インターネットワールドにおける話題の企業となりました。
すると同社の元には、同じような方法で資金調達を行いたいという希望を持つ多くの起業家から、協力要請の電子メールが舞い込むようになりました。 そこでC氏はW社という証券会社を創業して、今ではインターネットで資金調達を行いたい企業にアドバイスをしたり、インターネットで株式公開を行う際の様々な業務を代行するということも始めています。
S社の元に多くの投資家が集まったのは、インターネットでの投資家募集という物珍しさもあったものの、基本的には同社がインターネット上でしっかりディスクロージャーを行っていたからです。 どのようなビジネスプランで、どのような規模の事業を行うのか。
売上はどのくらい予定できるのか、いつ頃利益が期待できるようになるのか、といった情報を事細かに述べた目論見書が、同社のホームページから個人のコンピュータに自由にダウンロードできるようになっていたのです。 S社の時代にはまだ珍しかったインターネットも、現在では米国における主要な情報コミュニケーションチャネルとなっています。
そしてこのようにインターネットを一つのチャネルとしたビジネスプランの公開やアニュアルレポート、その他の企業情報の公開は、現在の米国企業ではごく当たり前になりつつあります。 たとえば、ほとんどの企業が自社のホームページにおいて、最新のプレスリリース(メディア向けに行われる記者会見やその他の発表)や四半期ごとの業績、アニュアルレポートなどをダウンロードできるようにしています。
ウィットキャピタル社のプレスリリースようなサービスを提供している企業も多く存在しています。 こうなってくると業界誌や新聞雑誌の記者が企業に出向いて取材しなくても、ホームページにアクセスするだけで多くの情報を得ることができます。

これまではわざわざ本社にまで出かけて取材しなければわからなかったようなことが、机を離れずに可能になったのです。 その結果、インターネットはニュースチャネルとして大きなパワーを持ってきます。
企業でもそれを意識してより多くの情報をインターネットで流すようになりました。 そこに流されるニュースが自社の株価を大きく左右するのですから、インターネット情報の価値は非常に高いものとなってきます。
誰の目にも見えるように、どのような人にも理解できるように、企業の業績や現状を提示することは、日本企業のもっとも不得意なところかもしれません。 それはおそらく、これまで日本企業に対して完全なディスクロージャーが求められるような機会が、ほとんどなかったからではないかと考えられます。
なぜならば、たとえ株式を公開している大企業であっても、経営を進めるために不可欠な経営サポート及びバックアップ勢力を構成する主要メンバーは、運営資金を融資してくれるメーンバンクと経営内部にいるごく内輪の関係者に限定されていたからです。 企業経営が外部に向けて閉じられたものだったわけです。
そこに総会屋などにつけ込まれるような日本企業の弱みがあったのでしょう。 大企業においてさえそのような状態なのですから、中小企業においてはなおさらです。
しかし、そうした状況もいよいよ変わり始めています。 あらゆる業種、業界において、海外企業との競合が激化することが予想されますし、提携も多くなるでしょう。
海外からの投資を受けなければならないようなケースも出てくるでしょう。 閉鎖された市場の開放を求める、米国を始めとする外国政府からの強力な圧力も作用して、日本的に閉ざされた企業経営の時代が終わろうとしているのです。
日本国内だけに通用するような、日本的特殊性に依拠した経営姿勢が通用しない時代がやってこようとしています。 これからは海外にも通用するような、誰もが理解しやすい、はっきりとした企業姿勢を打ち出した、オープンな企業経営スタイルが求められてきます。
「根性」や「忍耐」といった、演歌的な経営姿勢はすでに過去のものとなっているのです。 ここで忘れてならないのは、競争が国際化するということは、チャンスもそれだけ大きくなるということです。
インターネットでは原稿作成から印刷までのタイムラグがまったくありません。 完成した原稿はそのままホームページに表示されます。
ですから印刷媒体を利用した際によくある、資料の完成時にはもう企業の経営状況が変わっているということもありません。 常に情報を更新してゆくことによって、テレビの生中継のようにリアルタイムで最新の企業情報を提供し続けることが可能です。

『別時間情報を提供できる』世界のビジネスは別時間体制で稼働しています。 ホームページを利用した広報活動は情報の書き込み・更新さえ行ってしまえば、人の手を必要とすることなく自動的に情報を提供し続けます。
しかもほとんどの仕事はコンピュータがやってくれるのです。 インターネット(企業ホームページ)を企業情報開示のためのシール、つまり広報シールとして使うことのメリットを整理すると、だいたい以下のようになります。
いつでも。 だれでも。
どこからでも。 インターネットは世界に開かれたメディアです。
世界中どこからでもホームページにアクセスすることが可能です。 情報を求める人の事情や動機によって、必要な情報の量や質は異なります。
ただ単に企業の所在地や連絡先を知りたい人から、投資のために年次報告書を必要としている人まで様々います。 インターネットでしたら、そうした人たちが欲しい情報を、必要な量、必要な形で提供することが可能です。

これ以外に、『安上がり』『検索可能』『保管場所不要』などの効果もあります。 M社はミネソタ州ミネアポリスに本社をおく人工心臓などの医療機器メーカーです。
同社のホームページで最初に目に飛び込むのは、ベッドに寝ている人のシルエットが起きあがって、歩き始めるというアニメーションです。 同社が目指しているビジネスのゴールがここに印象的に示されています。
左側にはこのサイトで提供されているコンテンツ(内容)一覧があります。 それを順に書き上げると、医療関係者向けの商品情報、患者のための商品情報、同社ファイナンス関連情報、就職情報、M社の経営理念、M社へのコンタクト方法となります。
実に多くの情報が提示されていることがおわかりになると思います。 日本の一般的な企業の広報担当者から見れば、ここまでの詳細な情報をあらゆる方面に提供していること自体、不必要に感じられることもあるかもしれません。
しかしこれまでの項で述べてきたように、現在の企業を取り巻く環境を従来の日本的な常識だけで判断することは非常に危険です。

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